猫になって君にキスをして
「にゃ…」
オレは恐る恐る、秋だというのに剥き出しのギャルの腕に手をかけた。
「んあ?!」
隣りに座る猫であるオレに気づいていなかったギャルは、相当ビックリした顔でこちらを見下ろした。
「なんだよ、猫かよ!」
「にゃ」(なんだよって)
「なんで猫が乗ってるんだよ!」
「にゃ」(行く場所があるからだよ)
「なんだお前、手袋はめて」
「にゃ…」(手袋…)
赤い前足を見つめる。
そういえば手袋みたいだ。
「にゃにゃ」(お前のせいだぞ)
パンツを見た自分のせいだが、原因はこのギャルにある。
「にゃにゃ」
(ま、それより、その男、)
ギャルの携帯に肉球を押し当てた。
その手を髭の前に持ってきて、左右に振った。
「にゃにゃ」(駄目だ、その男は)
「なんだよ猫」
「にゃ」(信じるな)
「あ?」
「にゃにゃ」
(同じこと繰り返すぞ、そいつは)
「なに?」