猫になって君にキスをして

ピロリーン…またケータイが鳴った。


_________

どうする?

別れるか、別れないか。

俺はどっちでもいいけど。
_________



最悪だ。

このギャルが“別れない”と言うのを分かっているような本文だ。


オレはギャルを見上げた。

唇を噛んで、さっきよりもしぶい表情で画面を見つめている。


親指が小さく動いた。

しかし文字は打てずにいた。

迷ってるのだろう。

「はあ…」とため息をつきながら、鼻を啜っている。


「どうしてあたしは、いっつもこうなっちゃうんだろう」


ギャルの瞳に、薄っすらと涙が浮かんでいた。


「こういう男ばっかりに引っかかってさ。情けねー」

「にゃ…」


マスカラの溶けた黒い涙が、頬を滑り落ちた。

< 138 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop