猫になって君にキスをして
「別にいいんだけどさ」
再び動き出した指が、『信じるから』と打ち始めたのを見て、オレはギャルの腕に猫パンチをくらわした。
「にゃ!」(バカか!)
黒い涙を流すギャルの顔がこっちを向いた。
「ってーな、猫! なにすんだよ!」
「にゃにゃ!」
(そんな恋愛ばかり繰り返すな!)
「は?」
「にゃにゃ!」
(男を見る目を鍛えろ!)
「にゃにゃじゃ分かんねーよ」
「にゃー!」
(その黒い涙が流れる化粧をやめて、Tバックもやめてみろ。もったいねーけど)
「あ?」
「にゃっ」
(違うタイプの男が見つかるかもしんねーぞ)
「は? なんて?」
「にゃ」
(結構可愛い顔してんだからさ)
「猫、分かんねーよ」
首をかしげたギャルは、オレの頭を撫で、少しだけ笑った。