猫になって君にキスをして
『まもなく、松竹梅賞、本日のメインレースです!』
ケータイ画面を覗き込むと、パドックから馬場に移動し始めた馬達のケツが映っている。
つやつやとしたケツに揺れる、キューティクルの整った長いしっぽ。
「にゃ……」
それに比べて……オレのこの姿はなんだ。
少し茶色くなったバリバリの白い毛に、しっぽの先は黒、両手は赤。
動物になって、動物に容姿上劣る。
なんだか、すごく負け犬気分だ。
猫だけど。