猫になって君にキスをして
前に座る赤ん坊を抱いた母親が“なに?”という感じでオレ達の前にやってきた。
「あら。シマウマ」
オヤジと猫、それに親子がプラスされたプチ観戦場は更に盛り上がる。
「シマウマ! シマウマ!」
「にゃにゃ!」(シマウマ!)
「シマウマさん!」
『やや1番、遅れてきましたねー。大丈夫でしょうか!』
『そうですねぇ、馬体が重そうですねぇ』
『踏ん張れるか、1番“テンタカク・オレ・コエチャッタ”!』
『肥え過ぎですねぇ』
300m付近、1番“テンタカク・オレ・コエチャッタ”が早くも遅れ出した。
重そうな馬体……というより、はっきりいってデブ馬だ。
鼻の穴が広がり、すでにバテバテだ。
シマウマはまだ頑張っている。