猫になって君にキスをして

「今日、何食べようかなぁ」


サンダルに足を突っこみ、カーディガンのボタンを締めながら、紗希が集会所の鍵をかけた。


チャリンと音を立てる鍵をジーンズのポケットに収め、砂利道を歩きだす。


「は~あ…。なんか疲れたな~」


長く伸びる紗希の影。

その頭の部分を追いかけるように、オレも後に続いた。


「聡史、何してるんだろ……」


“わたし待~つわ いつまでも待~つわ…”


二人組デュオの唄を小さく口ずさみながら、とぼとぼと歩く紗希の頭の影が、うつむくと同時に少し短くなった。


それを見下ろして、オレもまた、とぼとぼとその後をついていった。





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参考

細川たかし「望郷じょんから」「北酒場」
越路吹雪「ラストダンスは私に」
高橋真梨子「桃色吐息」
鳥羽一郎「兄弟船」
石川さゆり「天城越え」
美川憲一「さそり座の女」
あみん「待つわ」
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