猫になって君にキスをして
15。カルシウム
15。カルシウム
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「待つわ~いつまでも待つわ~ 他の誰かにあなたがふられる日まで~」
紗希はまだ唄っている。
よく聴くと、すごい歌詞だ。
Sなのか、Mなのか。
なんて思いながら紗希の影を追い、歩いている砂利道の感触が少々痛い。
遠くの山にカラスが帰る。
砂利道を抜けると、舗装された細い道に出た。
紗希のアパートは、ここから50mくらい先だ。
チカチカと点滅しながら、薄汚れた街灯に明かりが灯り始めた。
空は、紫とも青ともつかない色になっている。
秋の日の入りはあっという間だ。
細い月が薄く顔を出して、追っていた紗希の影が消えた。