猫になって君にキスをして
「大丈夫?」
紗希はじっとオレを見ている。
何だか、照れくさい。
「にゃ……」
オレはうつむいた。
「元気ないわね、大丈夫かしら?」
背中を撫でられて、びくんと震えた。
「あら」
背中を撫でる手が、オレの前足に伸びた。
「血? ケガしてるの?」
赤く染まっているオレの両前足をちょんちょんと注意深く触りながら、心配気な顔をする紗希。
「にゃ…」(いや、これは…)
Tバックを見て、2度も流した鼻血のせいだなんて言えねぇ……。
ますます紗希の顔を見ていられなくなって、前足を折って、カラダの下に隠した。