猫になって君にキスをして
感心していると、突然コンビニの自動ドアが開いた。
黒い顔に目玉だけをギラギラと光らせて、ナニ人だか分からない店員が顔を出している。
「サッキサーン、スンマソーン」
「にゃ?」
「なに?」
オレと紗希、同時にその顔を見上げた。
「ワタシ、ワスッテマスター」
「にゃ?」(マスター?)
「忘れてた?」
……紗希、よく分かるな。
「忘れてたって何が? 佐藤くん」
……佐藤くん!?
「ツリセン、オカーシ」
「にゃ?」(お菓子?)
「お返し……ああ、おつりね」
だから……、なんで分かる?
「スンマソーン、ハイ、291マーン」
「にゃ…」(291万…)
「あはは。あたしもすっかり忘れてた。ありがと、裕次郎くん」
ええーーっ?!
裕次郎!?