猫になって君にキスをして
「やっぱ牛乳でしょ」
「……にゃ」
(白いぞ、口の周り)
お前のその飲みっぷりなら、牛乳のCM話が来ても、立派にこなせるぞ紗希。
「ケンちゃんの健康牛乳!」
「……」
お前は、何年前を生きているんだ。
そして、お前はすでに忘れている。
“飲む?”と聞いた、オレの分の牛乳はどうした。
「さすがにお腹が張る、キツイ」
赤いカーディガンを脱ぎ捨てた紗希は、
「ふっふーん」と鼻歌を唄いながら、履いていたジーンズを下ろした。
尻にプリントされた黄色いクマと目が合った。
「にゃ……」
なんとも言えないため息が漏れた。