猫になって君にキスをして
「はい、どーぞ」
「にゃ」
「猫舌でしょ? あんまり温めなかったから大丈夫」
「んにゃ……」
ゆるく立ち昇る湯気の向こう。
紗希の笑顔は、はっきり言って可愛かった。
「ふが……」っと、ジャガイモにかぶり付く。
「ふにゃっほっ」
熱いぞ、紗希……。
「美味しい?」
「にゃ……はふ……」
「聡史もね、煮物だけは美味いって言うんだ」
「……」
婆さん、やっぱり紗希の煮物は美味いぞ。
「いっぱい食べて、元気になりなよ、猫」
「……にゃ」
イモを食いながら、泪が流れそうだった。