猫になって君にキスをして
「にゃあ……」
(はあ……)
この先ずっと、こんなことの繰り返しなんだろうか。
紗希の帰りを待って、
帰ってきたら頭を撫でてもらって、
風呂に入るとすっぽんぽんになれば、そのたびに鼻血を流し、
隣で眠る紗希に悶々としながら朝を迎えるのか……。
もしかしたら、他の男を連れ込んでくる事もあるかもしれない。
新しい男とイチャつく紗希を、オレは、床に座って眺めていなければならないのか。
なんて切ないんだ。
猫、ラッキーなんかじゃねぇ……。
人間に戻りてーよ……。
「にゃ……」
知らずに泪がこぼれた。
赤い前足で泪をぬぐいながら、
紗希が風呂から上がってくるのを静かに待った。