猫になって君にキスをして
充電を開始したケータイ画面に、
並んで笑うオレと紗希の画像が映っている。
それをじっと見つめる紗希の横で、猫のオレは、何もできなかった。
ごめんな、紗希。
水族館、行ってやれなくて。
いつも眠ってばっかりで。
これからは、もっと構ってやりたい。
んでもオレ、猫なんだ。
猫になっちったんだ。
お前が猫になっちゃえなんて言うから……。
これじゃ、一緒に映画も見れないな。
水族館になんて行ったら、猫のオレなんて、追い出されちまうだろうし。
「はぁ」
「にゃぁ」
同時に深いため息をついたオレ達は、しばらくの間、待ちうけを見つめていた。