猫になって君にキスをして

「にゃんだ、たいした事にゃいじゃん」


指先で鼻血をぬぐって、ほっとした時に気づいた。


「……」


……何だこの格好は。

すっぽんぽんで鼻血って。

これじゃ紗希だって、オレを変態呼ばわりするわな……


って、あれ?


……

………

…………




「にゃんじゃこりゃーーー!!」




すっぽんぽんっ!

すっぽんぽんっ?


鏡に映った、おい、お前。

お前はいったい誰だ?



……ってオレか!!



何で?

どうして、すっぽんぽん!

って、びっくりするとこ違ってるし!


何で?

オレじゃん! 聡史じゃん!


「……」


鏡には、たしかにオレが映っている。

猫じゃない。

人間のオレだ。


「にゃんでぇ~?!」


猫慣れしてしまったのか、

人間の姿をもっても、半分猫語の自分がしゃべっていた。

< 206 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop