猫になって君にキスをして
「にゃんだ、たいした事にゃいじゃん」
指先で鼻血をぬぐって、ほっとした時に気づいた。
「……」
……何だこの格好は。
すっぽんぽんで鼻血って。
これじゃ紗希だって、オレを変態呼ばわりするわな……
って、あれ?
……
………
…………
「にゃんじゃこりゃーーー!!」
すっぽんぽんっ!
すっぽんぽんっ?
鏡に映った、おい、お前。
お前はいったい誰だ?
……ってオレか!!
何で?
どうして、すっぽんぽん!
って、びっくりするとこ違ってるし!
何で?
オレじゃん! 聡史じゃん!
「……」
鏡には、たしかにオレが映っている。
猫じゃない。
人間のオレだ。
「にゃんでぇ~?!」
猫慣れしてしまったのか、
人間の姿をもっても、半分猫語の自分がしゃべっていた。