猫になって君にキスをして
塀の上をよたよたと歩いていって、たどり着いたのは公園だった。
アパートからそれほど離れてもいない公園だったが、足を踏み入れるのは初めてだ。
初めての経験が猫になってからとは。
想像もしてなかった。
当然だ。
土の上に腰を降ろし、その敷地をくるりと見渡すと、
ブランコにすべり台、砂場にベンチ、たったそれだけが置いてある小さな公園だった。
周りは緑で囲まれていて、早朝のその場所は静かだった。
しめった砂場の横を通り過ぎ、ベンチの上にジャンプする。
そこで身体を横たえて、「にゃあ(ふう)」と一つ息を吐いた。
かなり疲れる。