猫になって君にキスをして
「聡史」
「ん?」
「今日、月曜だよ」
「うん」
「その格好で出勤するつもり?」
「あ」
紗希がケラケラと笑っている。
その鼻の下、頬、あご……、顔中、いたるところにオレの鼻血が伸びている。
「ぶぶ」
ケツの黒い青アザが、床にこすれるたび、少々痛む。
「紗希」
「ん?」
「ごめんな」
「うん?」
「オレ、紗希が好きだ」
「……うん」
カーテンから射し込む光は、もうそんなにまぶしく無い。
紗希の笑顔のほうが、何倍もまぶしかった。
-ENDー