猫になって君にキスをして
「にゃにゃ……」
(マジ、このままだったらどうしよう)
だんだんと不安がおそってきた。
生乾きのカラダと、砂まみれになった前足を眺める。
毛づくろい……したほうがいいんだろうか。
「……」
しかし、その勇気が湧いてこない。
当たり前だろ、汚ったねぇし。
(でも猫は毛づくろいすると落ち着くって言うしな……)
躊躇ったが、舌を出して軽く横腹を舐めてみた。
ダメだった。
無理。
ぜってー無理。
見た目は猫だが、中身は人間だ。
乾いて少し土色になった毛など、舐めまわす事など出来なかった。