猫になって君にキスをして
そうしているうちに、ちらほらとお年寄りが現れ始めた。
散歩だろうか。
シルバーカーを押し、所々に設けられたベンチに「よっこいしょ」と腰かける。
こちらに向かってゆっくりと歩いてくる爺さんと目が合った。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ」
にっこりと微笑んでいる。
口元にシワが寄り過ぎている。
たぶん、入れ歯を忘れてきたんだろう。
あと2mでご到着だ。
オレはささくれた木の一部に腰を移動し、爺さんの為に隣りを空けた。