猫になって君にキスをして

「おい、紗希、何言ってんだよ。分かったよ、行こう、水族館。今起きるからさ」

「別れる」

「また冗談なんだろ。ちょっと待ってろ。今準備するから……」


紗希はケンカをするたびにいつも「別れる」と言う。

まあ、前はそんな事は無かったのだが、

ここ最近その言葉を聞くことが多くなっているのは確かだ。


それでも別れることなくこうしているわけだから、

紗希の「別れる」の言葉など本気で考える必要はない。


それでも、後が面倒だ。

ご機嫌取りに精を出さなきゃならない。


< 34 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop