猫になって君にキスをして
しぶしぶ起き上がり、Tシャツを脱ぎ始めたときだった。
「……ホントに別れるんだから」
低い声が聞こえた。
「え?」
Tシャツが絡まって紗希の顔が見えない。
「あんたなんかね、猫にでもなっちゃえばいいのよ! 大好きな布団にずっと絡まってれば?!」
ドスドスドスッ!!!
フローリングを叩く、豪快な足音がする。
バタンッ!
……と玄関のドアが閉まる音がすると、部屋の中は一気に静まりかえった。