猫になって君にキスをして

待ってるだけムダらしい。


「にゃー(おーい)」


ドアを叩いてみた。

しかし店主は気づかない。


「にゃー!(おーい!)」


今度はもっと強く叩いてみた。


「にゃっ(おっ)」


口を開いたまま、店主がこっちを見た。

しかし怪訝な顔をしている。


だろうな。

ガラス戸に鼻と肉球をぴたりと押し当てた猫が中をのぞいているんだから。


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