猫になって君にキスをして
「にゃにゃ(開けてくれ)」
少しの間、キツネにでもつままれたような顔をしていた店主だったが、
ゆっくりとパイプ椅子から腰を上げた。
公園で合った爺さんと同じくらいの年齢だろうか。
腰を曲げ、足を引きずるようにドアの前までやってくる。
が、結構遅い。
いや、相当遅い。
誰かリモコンを持ってきてくれ。
早送りさせたい気持ちを抑え、待つこと40秒。
店主が入り口マットにたどり着いた。
言っておくが移動距離は5メートルも無い。
スロー選手権があったら表彰台の真ん中だろう。