猫になって君にキスをして

おそらくあの時からほとんど売れていない時計たちに囲まれて、こうして何人の客と猫と知り合ってきたのだろう。


たかが3年。されど3年。


しかし、人がここまで歳をとるくらいの重みはあるんだな。



「にゃ……」


オレと紗希との3年にも、色んな事があったはずだ。

見過ごしてきたこともきっとたくさんあるに違いない。



ち、ち、ち、ち……



てんでバラバラだが、しかし同じ時を刻む音が響く店内で、

オレは人が来て自動ドアが開くのを爺さんを眺めながら静かに待った。

今日はここから出れないんじゃないかと半分あきらめてもいた。

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