猫になって君にキスをして
そりゃあもう、若い男は喜んでシャッターを切りまくった。
「スクープ、スクープ」と言って。
なんか違うだろ。
アホか。
おそらく明日の地方紙の「みんなのアングル」コーナーに、オレの写真がデデンと載るだろう。
「……にゃ」
……新聞デビューが猫の姿か。
誰に自慢すればいいんだ。
仮に人間に戻れたとして、
「これ、この猫、オレ!」と言ったところで誰が信じるんだ。
病人扱いされるのがオチだろう。
オレはそいつを撒いて店と店の間の側溝に入った。
「スクープ、スクープ!」
ケツにまだそいつのシャッター音を感じていた。