猫になって君にキスをして
しかしキツい。
何がって、婆さんの重みだ。
「お前、この辺じゃ見ない顔だのう。新顔かい?」
そう言いながらオレの頭を撫でるのだが、
地面に顔がつくほど腰の曲がった婆さんの全体重がオレの上に圧し掛かっている。
大根が無くなった今、杖代わりとなっているのは完全にオレだ。
「にゃ……にゃ」
(お……重いぞ、婆さん)
「お前も婆ちゃんの煮物食うが?」
「にゃ……」
(に……煮物?)
「んまいぞ。着いてきたら食わせとっと」
「にゃ……」
(そ……それよりこの手をどいてくれ婆さん)
死ぬ……。