猫になって君にキスをして
「にゃ……」
やべぇ。
向こうから、猫が来た。
オレと同じ、道のど真ん中を歩いている。
トラ猫だ。
かなりデカイ。すげぇ迫力だ。
おそらく、この辺のボスだろう。
5mほどの距離に近づいたところで、その猫が足を止めた。
「シャー……ッ!!」
わかってはいたが、やっぱり威嚇してきた。
やめろ。
来るな。
オレは無抵抗だ。
このあたりに住む気もなければ、ボスになる気もない。
ってか、猫になる気だってなかったんだ。
「にゃにゃっ(追いかけてくるなよ)」
オレはしっぽを股の間にはさんで(文字どおりしっぽをまいて)、
近くのゲーセンに逃げ込んだ。