猫になって君にキスをして

ゲーセンの中は、比較的すいていた。


見た目はすごくトロそうなのだが、

なぜだか異様にリズム感だけは飛びぬけて良さげな若い男が一人、太鼓を無我夢中で叩いている。

ロン毛がふり乱れている。


パーフェクトなバチさばきで高得点キープ中だ。

たぶん、閉店までいる気だろう。


その横を通り過ぎ、オレはあるオンナの足元でおすわりした。


「ぎゃーーっ!! 怖いーーっ!!」

「……にゃ(うるせぇな)」


シューティングゲームをしているその小さなオンナは、

持っているガンを手当たり次第にぶっ放している。


「こ、来ないでーーっ!!」

「にゃ…(来るのが、このゲームなんだぞ)」


ほとんど画面を見ずに打ちまくっているのだが、

何故かむかってくるゾンビはあっけなくやられている。


ある意味天才だ。

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