猫になって君にキスをして
『そういう事しないでっていったでしょ! 地球はゴミ箱じゃないの!』
なんて、マジギレしてた。
『あんたみたいな人がいるからこのアーケードもこんなに汚いのよ。ゴミはね、1個ポイ捨てしたら3個拾わなきゃ、死んだ後、天国に行けないんだからね!』
ま……マジか。
それを聞いて以来、オレはゴミを見つけると3個拾ってはゴミ箱へ入れ、3個拾ってはまたゴミ箱へ入れ……を繰り返している。
いったい、あと何個拾えば、オレは死後天国へ行けるのか。……分からない。
そのくらいポイ捨てしてきた人間だったが、紗希に更生させられたのだ。
「にゃ……」
ガムのへばりついた肉球を見つめる。
紗希……お前は正しいぞ、と思いながら、
赤レンガに前足をこすりつけてなんとかガムを落とした。
しかしまだ変な粘着感が残っている。
気持ちわりぃ。