君しか....

そう言った京さんは、きっと絵梨さんの事があったから。

今、俺の隣にいるのは京さんでも、ただの京さんじゃない。
悲しみを怒りに表現した京さんだ。


ーバコッ

「ゴホッ…」


軽く殴るとその場から離れた。


「大翔…」
「あ?」
「大翔が殴りてぇ…」
「ちょい待ち…」


大翔さんは京さんの前に立った。


「待ってください!!」
「ん?」
「京さん…僕を殴ってください。京さんの事、知りたいっす。もっと強くなりたいっす。お願いします!!」


京さんの痛みや辛さ。
俺は見てきただけ。
ただ強いと感心しただけ。
でも、強くなるには自分を守らなきゃならない。
その守り方を教わりたい。



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