愛しいわがまま。


「嗅ぐな」

遥は私の首元に顔を埋めては、
クンクンとわざとらしく鼻を擦り寄せる。


「凌、 超いい匂いすんだもん〜」


遥が首筋に口を当てたまま喋るもんだから、くすぐったくて背中が変にゾクッとする。


「…っ…分かった分かった。
遥もいい匂いだよ。 だから離して」


「"だから"の意味がわかんない」


「遅刻しちゃうよ」


「…んー、いいよ。むしろ朝からいいことしちゃう?♪」

ニコッと笑って私の上に跨がる遥。


「却下。"むしろ"の意味がわかんない」

「わー冷たい」


遥の胸を押し退かし、立ち上がる。


…スカートぐちゃぐちゃじゃんよ馬鹿。


「遥なんて置いてっちゃうもんねっ」

自分の鞄を拾い、
あっかんべーして部屋を出た。


「あっ、待った!」


遥がバタバタと動き出す。




「凌ちゃん いってらっしゃい」

「いってきまーす♪」

笑顔の遥ママに癒されて私まで笑顔。


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