愛しいわがまま。


「ごめん!!!」

電話に出た途端、遥の声が耳に響く。




……遥だ…。



「…よかった――…」

安心しきった私。


「……凌?」


「なんでもない…、遥どこにいるの?」


私の質問に一瞬黙る遥に。
首を傾げながらイヤな予感がよぎる。



「……ごめん。携帯充電切れちゃって。
連絡遅くなった。


今日――…行けないんだ。」






「………そっか」

"なんで"と言えない自分が嫌い。


「ほんと、ごめん…。今どこ?」


「……いいよ
今ね、遥待ってたらちょうど愛那と会ったの。そのまま遊んで帰るよ」

声も変えずに嘘をつける自分が嫌い。


「そっか……」

「遥は大丈夫なの?」


「うん。俺は全然…」

「じゃあ……」


"じゃあなんで来れないの?"



そう言いかけて、やめた。


「…凌?」

「………」


思わず黙ってしまった。
なんで素直に聞けないんだろう。



「…凌?どうかした「「はる?」




< 39 / 92 >

この作品をシェア

pagetop