愛しいわがまま。


「凌ちゃん!? どしたの?」


その場にしゃがみ込んだ私。

あたふたしてる遊輝。



「……なんでもないの」


なんでもない。けど


本当は、今頃遥と2人で笑ってたはずなの。

遥は"楽しみにしてて"って
そう言ったの。



それなのに、遥はどうして今ここにいないの?

ねぇどうしてありさちゃんなの





"「「はる?」」"
そう呼べるのはありさちゃんだけでもいい。

病院だって付いていってあげたらいい。


でも、



でも今日くらいは
私のそばにいてほしかった。



「……、 …よしよし。」


遊輝の手が戸惑いながら私の頭を撫でた。


「…っ………」


それは優しくて暖かいのに。

それでも、




(これが遥の手ならいいのに。)



そんな最低なことしか考えられない自分が、どうしようもなく嫌いだ。





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