愛しいわがまま。

何も言わず私の頭を撫でてくれる遊輝に


「……遊輝を好きになればよかった」


特に何も考えず口にした言葉。


すると遊輝の手が一瞬止まった気がした。




「…俺を好きになってくれればよかったのに」



顔を上げてみれば遊輝は
困った顔で笑っていた。





――………あ、



困らせた。



「あ、でも…遊輝はちっちゃいからダメだね」


咄嗟に違う空気を感じて、
笑顔をつくって茶化してみせる。



「凌ちゃん、それ禁句。
でも、そのぶん心がデカいから問題ないよ」


きっと遊輝は気づいていたけど。


「それは魅力的だねー」

「でしょでしょ」


それでも笑って調子を合わせてくれる遊輝に、私はまた助けられてしまった。





< 47 / 92 >

この作品をシェア

pagetop