愛しいわがまま。
――――……
「送ってくれてありがとう」
「どーいたしましてー♪」
「じゃあ……」
"ばいばい"
私がそう言おうとしたのと同時に
――…ポン
遥の手が優しく私の頭に触れた。
「……もう平気?」
遊輝は私を覗き込む。
「私…そんなに変な顔してる?」
表情には出ないタイプなんだけどなぁ…
戸惑う私に遊輝はクスリと笑った。
「俺だから分かるんだよ
つまり俺がスゲーの♪
凌ちゃんはほんと分かりにくいから大丈夫。」
「そう…、よかった」
「んじゃー…さっき俺の番号入れといたから。元気出してね♪」
満足げに笑ってそう言い捨て、
小さくなっていく遊輝の背中。
(………は?)
番号?…入れといた?
「……ぁ、」
電話帳を見てみれば本当に、遊輝のアドレスと番号が登録されていた。
「いつの間に……」
あまりの手際の良さに呆れながらも笑みが零れた。