愛しいわがまま。



――――……


「送ってくれてありがとう」


「どーいたしましてー♪」



「じゃあ……」


"ばいばい"

私がそう言おうとしたのと同時に





――…ポン


遥の手が優しく私の頭に触れた。



「……もう平気?」

遊輝は私を覗き込む。



「私…そんなに変な顔してる?」


表情には出ないタイプなんだけどなぁ…



戸惑う私に遊輝はクスリと笑った。



「俺だから分かるんだよ
つまり俺がスゲーの♪
凌ちゃんはほんと分かりにくいから大丈夫。」


「そう…、よかった」



「んじゃー…さっき俺の番号入れといたから。元気出してね♪」


満足げに笑ってそう言い捨て、
小さくなっていく遊輝の背中。



(………は?)


番号?…入れといた?


「……ぁ、」


電話帳を見てみれば本当に、遊輝のアドレスと番号が登録されていた。


「いつの間に……」

あまりの手際の良さに呆れながらも笑みが零れた。



< 48 / 92 >

この作品をシェア

pagetop