愛しいわがまま。
「毎日起こしにきてるんだぁ…」
「まぁ…」
―――クスッ
「はるまだ寝てるよ?♪」
「…そっか」
"クスッ"ってなに?
一緒に寝てたの?
「私ね、昨日ずっとはると一緒にいたんだけど。そのまま泊めてもらっちゃったの」
「……へぇ」
(は?)
「凌ちゃんの彼氏なのに、ごめんね?」
なにが "ごめん"なの?
私に謝らなきゃいけないようなことがあったの?
「ううん全然…、大丈夫だよ」
「さすが凌ちゃん、心広〜い。
私だったら彼氏が自分の家に女の子泊めるとか絶対許せないっ」
「あ、はは……」
笑顔笑顔。
(笑って 私、)
「ほんと…余裕だよね」
そう見えるならよかった。
「まぁ…凌ちゃんだったら遥じゃなくたって、男はいっぱい寄ってくるだろうしね」
意味が分からなくて首を傾げると、そこで急にありさちゃんの表情が変わった。
「……でも」
私を鋭く見つめるありさちゃん。
「私は、はるじゃないと駄目なの。
はるは返してもらうから」