愛しいわがまま。
「…………」
残された私は、
さっきの表情と言葉が浮かんでばかり。
"告白を断った事なんてない"
そんな事知らない。
そんな遥…私は知らないよ。
"薄っぺらい付き合い"
"捨てられる"
亜梨紗ちゃんをほっておけなくて
私を傷付けられなくて
嘘をついていた、狡くて優しい遥。
(ねぇ、私への気持ちさえ嘘だったの?)
私を惹き付けてやまない無邪気な笑顔も
私が好きだと言った香水を使い続けるのも
甘い言葉を囁きながらキスをするのも
全部?
考え出せば、全てが嘘に思えて。
"そんなわけない。"
でも、…そうかもしれない。
どうして、なにひとつ言い返せなかったんだろう。
"捨てられる"の?
"これまでの女の子"と同じように?
"私のプライド"…?