愛しいわがまま。


「……ねぇ、まさか"今知り合った"って
ナンパされたって意味?」

何かを悟った遥が口をはさむ。


「うん まぁそんなかんじ」

「いや凌ちゃん、 確実にそうだからね」


私と遊輝のやりとりに遥のため息が聞こえた。


「最初からそう言えよ
友達かと思うだろ」

「…わっ……」


遥は呆れた顔で突然、片手で私を抱き寄せて遊輝に向かって口を開いた。



「この子バカだから言わなかっただろうけど、凌は俺で手一杯だから諦めてね」



…バカで悪かったね。
ちゃんと"人待ってる"言った気もするけど。



「彼氏くんちょっと引っ込んでてよ〜」

それでもお構いなしの遊輝は、迷惑そうに遥を見る。


「俺が引っ込む意味がわかんねーわ」

「あ〜、空気読めないタイプね
残念。せっかく顔はいいのに」



あくまでも2人は笑顔。

その分かりやすく引きつった笑顔が怖いぞ。



< 6 / 92 >

この作品をシェア

pagetop