愛しいわがまま。
「……ねぇ、まさか"今知り合った"って
ナンパされたって意味?」
何かを悟った遥が口をはさむ。
「うん まぁそんなかんじ」
「いや凌ちゃん、 確実にそうだからね」
私と遊輝のやりとりに遥のため息が聞こえた。
「最初からそう言えよ
友達かと思うだろ」
「…わっ……」
遥は呆れた顔で突然、片手で私を抱き寄せて遊輝に向かって口を開いた。
「この子バカだから言わなかっただろうけど、凌は俺で手一杯だから諦めてね」
…バカで悪かったね。
ちゃんと"人待ってる"言った気もするけど。
「彼氏くんちょっと引っ込んでてよ〜」
それでもお構いなしの遊輝は、迷惑そうに遥を見る。
「俺が引っ込む意味がわかんねーわ」
「あ〜、空気読めないタイプね
残念。せっかく顔はいいのに」
あくまでも2人は笑顔。
その分かりやすく引きつった笑顔が怖いぞ。