愛しいわがまま。

突然なにを言い出すかと思えば…


「沈んでたら余計悲しいよ。フリーになった記念にパーッと遊ぼう!」


「ね?」と言われてつい、私がはぁ…と頷くと、遊輝は急に立ち上がった。



「じゃあ俺はもう帰るよ」

"女の子同士で話したいこともあるでしょ?"

お得意の笑顔でそう言った遊輝は


「愛那ちゃん、またね♪」

と自分の手を愛那に差し出し、なぜか2人は握手してから帰って行った。



「「…………」」

残された愛那と私はしばらく呆然として。


「…遊輝くんって何考えてんのか分かんないね」


愛那は呆れたようにそう言うけど、
そんな彼女もまた、携帯片手に何やら顔は笑っていて、何を考えているかなんてサッパリだ。



……2人とも薄情だなぁ

私の失恋話に興味はないってか、(笑)



でも確かに、遊輝の言った事は間違っていない。

決めたのは私なんだ。

私が精一杯考えた結果なんだから。


私が落ち込むのもおかしいよね。



「私は凌ちゃんがどんな答えを出したって、ずっと傍にいるからね。」


そう笑ってくれる愛那もいて。

私はさっきよりも確実に、自然に笑えるようになっていた。



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