雪の姫―第1章―
「何あれ・・・?気味が悪いよ」
香帆の言う通り、本当に気味が悪い。
しかも降っているのは・・あたしたちが通う高校の辺りだけ
9月なのに雪が降るってのもおかしいし
あたしが考え込んでいると、香帆があたしの制服を引っ張った
「何?香帆」
「ねぇ、また寒くなってない?」
確かに・・。
さっきより、雪の降る量といい、風といい
強くなってきてる
「危ないから家に入ろ」
あたしは、香帆を連れて家に入った
「よ!由衣に香帆ちゃん」
玄関に立っていたのは、お兄ちゃんだった
「・・愁にぃ、帰ってたんだ」
「久しぶり愁くん」
この人は、あたしの兄の愁(しゅう)。
全然家に帰って来ない人で、急に帰ってきたりする
「・・あら?香帆来てたの?」
奥から現れたのは、香帆の姉で
愁兄の婚約者の知香(ちか)ちゃん
「げ・・お姉ちゃんも、帰ってきたの」
「帰ってきちゃ悪い?」
知香ちゃんも同様に、家に帰ってこない一人だ