六年一組、本紛失事件
生徒は黙ったままだった。しびれを切らし、子吉沢英夢が手を上げた。色白で長身である。服も水色の長袖シャツに黒のジーンズで、地味な感じである。
「なんだ?」
と、高基教諭は聞き返した。
「遅れてくると、思います」
と、子吉沢はきっぱりと言った。
「美田から聞いたのか?」
「いえ……」
「じゃ、なんだ?」
「いつもなんです……」
「ナニ! それじゃあ、遅刻の常習者か?」
「なんだ?」
と、高基教諭は聞き返した。
「遅れてくると、思います」
と、子吉沢はきっぱりと言った。
「美田から聞いたのか?」
「いえ……」
「じゃ、なんだ?」
「いつもなんです……」
「ナニ! それじゃあ、遅刻の常習者か?」