六年一組、本紛失事件
「たぶん、大丈夫さ……理々」

 高蔵は能天気だ。

「何だ?」

 理々は迷惑そうに目を細めて、眉間にシワを寄せている。

「宿題やったか?」

 高蔵は理々が嫌々など気にすることなく質問をした。

「もちろん」

「見せろ!」

「嫌だ!」

 理々は高蔵であろうとも即答だ。権力には屈しないタイプだ。


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