六年一組、本紛失事件
「おーい」

 勝手な行動に憤慨する高基教諭であった。

「みなさんごきげんよう」

 アリスは素早く退室してしまった。

 子吉沢は苦虫を潰したような顔をした。これで今日はアリスと会話するチャンスがなくなったからだ。

 算数の時間、子吉沢は無気力で、勉強する気は起きなかった。

「子吉沢! 何をだれている」

 高基教諭はすぐに気づいた。

「何でもありません」

「しっかり前を見て、勉強しろ。だいたい目が死んでいるぞ!」

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