六年一組、本紛失事件
「本を持って行った人は返しなさい!」

 いつの間にかひとみも強気である。

 もちろん、生徒たちは誰一人反応せず、状況を見守っていた。

「先生、誰も盗んでないようです」

 美紀子はもう高基教諭に助けを求めた。

「お前ら! 本を無断で家に持って帰らなかったか? 素直に言いなさい。今ならゆるしてあげるから」

「は~い」

 ここで高蔵が手を上げた。

「お前が持ち帰ったのか?」

 高基教諭は高蔵のことを犯人扱いであった。

「違いますよ」

「じゃ、何だ?」
< 128 / 302 >

この作品をシェア

pagetop