六年一組、本紛失事件
「ここで、言っても犯人は名乗らないと思います」

「そうだな……図書委員!」

 高基教諭に呼ばれて、子吉沢は驚いたようだ。

「先生、何でしょう?」

 子吉沢は予測不能な高基教諭の顔をおそるおそる見た。

「いくら、問い詰めても、犯人は出てこない。だから、図書委員のお前が、調べろ!」

「ええ、調べろって?」

 子吉沢は少し戸惑い気味であった。目をキョロキョロさせ落ち着きがなかった。

「誰が犯人か一人一人調べろ。渋革は除外していいだろう。いいな」

< 129 / 302 >

この作品をシェア

pagetop