六年一組、本紛失事件
「先に外に行ってるぞ!」

 と、笈滝の耳に入ってくる。焦る。とてもスープは飲めない。額からは汗が浮いていた。しばらくすると汗は流れた。

 教壇では高基教諭も給食を終え、食器類を片付けている。

 アセル!

 笈滝以外の生徒は給食を終えたようだ。食器類を給食室に持って行かなくていけないので、片付けたい生徒は、笈滝をじっと見ている。

「早くしろよ!」

 馬屋は言った。もちろん馬屋は片付け当番だ。

 急かしても笈滝はスープが飲めなかった。


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