六年一組、本紛失事件
「おいおい、早く、アリスも応援してんだから食えよ」

 馬屋は笑いたくて、堪えるのに必死だった。笈滝は本当にピンチだ。胃に食べ物を入れるより、胃の中の物を吐きそうだったのだ。

「馬屋君、そんなこと冷たい言い方しないの!」

 アリスはかなり笈滝に気をつかっている。

「何だよ、そんなに笈滝が心配ならお前が食ってあげればいいじゃないか!」

 馬屋はアリスに敵意をむき出しである。

「そうか、そうだよね。よし! じゃ、私が代わりに食べてあげるよ」

 アリスは戸惑いもなく言った。

「食えよ」

 馬屋はアリスに迫った。
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