六年一組、本紛失事件
 そこは一軒家だった。白い壁に庭は小さく、動物は飼っている様子はない。高蔵はチャイムを押した。

 しばらくしても返事はなかった。留守かと思ったがドアが開き、ひとみが顔を出した。

「何?」

 ひとみは怪訝な顔である。眉間にしわを寄せていた。

「あのさ、本どうした?」

 高蔵は明るく言った。

「だからさ、盗まれたって言ったでしょ!」

「そりゃ、わかってるよ。手元にあるんじゃないの?」

「私は、盗んでないわよ!」

「そうかな……何か、あやしいんだよね」
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