六年一組、本紛失事件
14 波教頭の高笑い
 放課後の職員室はゆったりとしていた。波教頭が入ってきて、空気が変わった。

 しゃべっていた教諭たちの話し声は消え、室内に重い空気が漂っている。

 波教頭の行動と言えば、他の教諭など眼中になく、藤美教諭と会話をするために近づいて行くのであった。

「藤美先生、暇かね?」

 波教頭は忙しくても話をするのだ。

「今は暇です……」

 藤美教諭は波教頭の魂胆は見抜いているつもりだ。

「どうだろう。今日の帰りくらいは飲みにでもついてくるか?」

「今日ですか?」

「今日だ」

 波教頭は藤美教諭の顔に近づけた。
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