六年一組、本紛失事件
「な、何で逃げたの、ハァ、ハァ……」

 子吉沢は聞いた。

「わかんねぇ」

 高蔵が号令をかけなければ逃げ出すことはなかったことなど、すっかり忘れているようだ。

「あ、理々君は本を盗まれた側だから、犯人ではないですよね、リーダー」

 馬屋は言った。

「そうだ。だから、間違いに気がついたから逃げたんだ」

 高蔵はもっともらしいことを言っているが、普通に考えればマヌケなことだ。子吉沢はうなずいて納得したように見せた。
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