六年一組、本紛失事件
21 憮然
 三号棟には六年一組の生徒はいなかったので、四号棟に高蔵たちは向かった。

 エレベーターで十階まで上がった。

『奥田』と表札には書いてある。

「ツトム! 今度はお前が聞きこみをしろ! 行け!」

 高蔵に背中を押され、笈滝は言われるままにチャイムを押した。

 高蔵と馬屋と子吉沢はドアから少し離れた位置に隠れた。

 玲がドアを開けたときは目の前には笈滝しかいな状態だった。

「あれ、笈滝君、何?」

 教室内でも笈滝とはあまり話したことがない玲が疑問に思うのは当然である。


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